The previous night of the world revolution7~P.D.~

「来てくれてたんだね、ユナ。ありがとう」

「もうニ時間近く前から来て、あなたが戻るのを待ってたのよ。全くもう…何ぶらぶらしてるのよ」

おっと。それは申し訳ない。

随分長い間待たせてしまったらしい。

「ごめんごめん、お待たせ。いや、本当はすぐ空港を出るつもりだったんだけど…」

「その、手に持ってる食べ物は何?」

「あぁこれ、回転焼きだよ。ユナにもあげるよ。五つ買ったから」

五つ買っておいて良かった。

「回転焼きって…あなたねぇ…」

「つい、祖国の食べ物が美味しそうでね。サンドイッチを食べて、アイスクリームを食べて…。それからこれを買っちゃった。いやぁ、やっぱりルティス帝国の食べ物は最高だね!」

「…はぁ…」

呆れたユナは、何か言いたそうな顔をしながらも、結局溜め息一つで全てを諦めた。

いや、本当に申し訳ない。

「相変わらず自由奔放なんだから…。変わらないわね、ブロテは」

ほう?

10年以上も留学して、「変わらない」と言われるのはちょっと心外だ。

でも、そうだね。

私の根っこ、根底にある部分は…10年前から、何も変わってないよ。

「そう言うユナは…。…ちょっと太った?」

悪戯心で、冗談めかして言ってみると。

ユナは恐ろしい顔で、じろっと私を睨んだ。

おぉ、怖い怖い。

「あんたね…。それ以上言うと、アシスファルト帝国に送り返すわよ」

「ご、ごめんって。軽い冗談だよ…」

「冗談でも、言って良いことと悪いことってものがあるのよ」

「本当に悪かったよ。ユナはユナだよ。変わらず、私の一番の親友だから」

「…全く…」

またしても、ユナは溜め息をついた。

私のせいで溜め息ばかりつかせて、いやはや、申し訳ない。

私が帰ってきたからには、しっかり活躍してみせるから、ご安心を。

「とにかく、本部に戻るわよ。駐車場に車を待たせてあるわ」

「おぉ、ありがとう。準備が良いね」

「皆、あなたが帰ってくるのを待ってたのよ」

…そうだったね。

長い間待たせて、皆には迷惑をかけた。

「ユナの他に、誰が迎えに来てるの?」

「アンブロとシャニー、それからセルニアよ」

ほほう。それは嬉しいメンバーだ。

しかも、私とユナを合わせて、丁度五人じゃないか。

回転焼き、五つ買っておいて正解だった。

迎えにきてくれた彼らにも、お裾分けするとしよう。

「駐車場で待ってるわ。行きましょう」

「分かった」

故郷の食べ物への誘惑は、あっという間に消えた。

それよりも私は、祖国で私の帰りを待っていてくれた仲間達に、早く会いたくて堪らなかった。