The previous night of the world revolution7~P.D.~

一連の入国審査を、恙無く終え。

私はようやく、故郷に帰還することが出来た。

あぁ、やっぱり故郷は良いものだ。

「…うん、我慢出来ないな」

本当は、家に帰って家族や仲間達に挨拶するまで、我慢しようと思っていたんだけど…。

ルティス帝国国際空港の、広々としたコンコースを歩いていたら…やっぱり我慢出来ない。

さっきから、あちこちから美味しそうな匂いが漂っているのだ。

我慢出来るはずがない。

私はコンコース内のお店に立ち寄り、立ったまま食べられるサンドイッチとアイスクリームを購入した。

故郷の通貨を使うのも久し振りだ。

「んー…。美味しい」

スーツケースを手に歩きながら、私は買ったばかりのサンドイッチを頬張った。

アシスファルト帝国でも、ルティス料理は食べられるけれど。

やっぱり、実際に故郷に帰ってから食べると、全然味が違う。

舌に馴染む味が、これまた感慨深くて。

機内でも食事をしたはずなのに、私はあっという間にサンドイッチを完食。

デザートに、続けてアイスクリームを頬張った。

うん、こっちも美味しい。

これなら、いくらでも食べられそうだ。

立て続けにサンドイッチとアイスクリームを平らげたにも関わらず、久し振りの故郷の味に魅了された私は。

ここまで来たら食べたいだけ食べよう、と思い、追加で回転焼きを五つも購入。

これまた、歩きながら頬張った。

私、今…凄く食いしん坊な女の子に見えてるだろうな。

あんまり調子に乗って食べてると、後でお腹が痛くなるかも。

でも、故郷の食べ物でお腹が痛くなるなら、それは本望というものだ。

なんてね。

「…さて、そろそろ行かないと…」

いくら故郷が懐かしいからって、いつまでもコンコースをぶらぶらしている訳にはいかない。

確か、私の仲間達が空港まで迎えに来てくれる、とのことだったが…。

彼らは一体何処に…。



…と、周囲を見渡した、そのとき。

「…ブロテ!こんなところにいた!」

「ん?その声は…」

名前を呼ばれて振り向くと、そこには。

今しがた探そうとしていた、懐かしい親友の顔があった。

「おぉ、ユナ!ユナじゃない!久し振り!」

「…久し振り、じゃないわよ。全く…」

私の旧い親友は、呆れたように両手を腰に当てた。

久し振りに親友のユナの顔を見て、私は懐かしい気持ちでいっぱいになった。