楽屋には、『frontier』の5人が揃っていた。
そして、案の定…俺の予想通りの光景が広がっていた。
「はーっ、はーっ…」
「…」
「ひーっ、ひーっ…。ふー…」
「…」
「ひーっ…ふーっ…」
…出産中ですか?
済みませんね。お邪魔して。
「ルトリアさんは相変わらずのようですね」
「あっ…。あなたは…」
ルクシーさん達が俺を見て、ハッとした。
ベーシュさんだけは、顔色を変えずにぽやんとしていたけど。
勿論彼らも、俺が何者であるかを知っている。
『frontier』が所属する事務所、『R&B』のスポンサーであると。
さすがに、俺がマフィアの幹部であることまでは知らせていないが…。
彼らのことだから、薄々気づいているのかもしれない。
「本番はもうすぐですけど。大丈夫そうですか?」
「どうでしょう…。今朝からこんな調子で…」
「今朝からじゃなくて、昨日からやばかったろ?」
まぁ、そうですね。
昨日、夏フェス二日目の夜、ルトリアさんはTwittersを更新していたけど。
『明日は夏ふぇ採集日(·ε·`)皆さん着てくだsueい(·ε·`)』だった。
所々字は間違えてるし、その口は何だ。
本番前のルトリアさんは、大体いつもこんな感じだから…大して気に留めてないけど。
「ルトリア、大丈夫か。しっかりしろ。スポンサーさんが来たぞ」
「ひーっ、ふー…。ひふーっ!」
「何だ、その呼吸は?」
ラマーズ法さえ危うくなってません?
これはまた、いつにも増して重症ですね。
「大丈夫、ルトリア?お腹にパンチする…?」
心配そうな顔で尋ねるベーシュさん。
それで正気に戻るんだから、凄いですよね。
壊れたテレビは、叩けば直る理論。
「いや、さすがに本番前だからそれは…最終手段にしておきたい」
「ルトリア、しっかりしろ。スポンサーさんが来たぞ」
「…ひふっ?」
ルトリアさんが、ぽかんとして顔を上げた。
目の前に俺がいるのを見て、そのまま十数秒見つめ合う。
…すると。
「…あっ、どうも。来てくださったんですね」
先程までラマーズ法を繰り返したとは思えない、流暢な口調で。
至って普通に喋り出した。
…正気に戻った?
いや、そういう訳ではないことを、俺は知っている。
俺のみならず、『frontier』のメンバーは既に承知のことだろう。
「えぇ。どうですか調子は?」
「お陰様で」
「励ましに来たんですよ。頑張ってくださいね、本番。最前列で見てますから」
「ありがとうございます。精一杯、やってみせます」
それは良かった。
「じゃ、頼みましたよ。素敵なステージを期待しています」
「はい。任せてください」
よし。大丈夫そうだな。
本番前に、あんまり邪魔しても悪いし。
「そろそろ行きましょうか、ルルシー」
「え?あぁ…分かった」
ルルシーは首を傾げていたので、多分分かってないんだろうな。
見た目じゃ分からないのも、無理はないか。
俺はルルシーを連れて、『frontier』の楽屋を後にした。
そして、案の定…俺の予想通りの光景が広がっていた。
「はーっ、はーっ…」
「…」
「ひーっ、ひーっ…。ふー…」
「…」
「ひーっ…ふーっ…」
…出産中ですか?
済みませんね。お邪魔して。
「ルトリアさんは相変わらずのようですね」
「あっ…。あなたは…」
ルクシーさん達が俺を見て、ハッとした。
ベーシュさんだけは、顔色を変えずにぽやんとしていたけど。
勿論彼らも、俺が何者であるかを知っている。
『frontier』が所属する事務所、『R&B』のスポンサーであると。
さすがに、俺がマフィアの幹部であることまでは知らせていないが…。
彼らのことだから、薄々気づいているのかもしれない。
「本番はもうすぐですけど。大丈夫そうですか?」
「どうでしょう…。今朝からこんな調子で…」
「今朝からじゃなくて、昨日からやばかったろ?」
まぁ、そうですね。
昨日、夏フェス二日目の夜、ルトリアさんはTwittersを更新していたけど。
『明日は夏ふぇ採集日(·ε·`)皆さん着てくだsueい(·ε·`)』だった。
所々字は間違えてるし、その口は何だ。
本番前のルトリアさんは、大体いつもこんな感じだから…大して気に留めてないけど。
「ルトリア、大丈夫か。しっかりしろ。スポンサーさんが来たぞ」
「ひーっ、ふー…。ひふーっ!」
「何だ、その呼吸は?」
ラマーズ法さえ危うくなってません?
これはまた、いつにも増して重症ですね。
「大丈夫、ルトリア?お腹にパンチする…?」
心配そうな顔で尋ねるベーシュさん。
それで正気に戻るんだから、凄いですよね。
壊れたテレビは、叩けば直る理論。
「いや、さすがに本番前だからそれは…最終手段にしておきたい」
「ルトリア、しっかりしろ。スポンサーさんが来たぞ」
「…ひふっ?」
ルトリアさんが、ぽかんとして顔を上げた。
目の前に俺がいるのを見て、そのまま十数秒見つめ合う。
…すると。
「…あっ、どうも。来てくださったんですね」
先程までラマーズ法を繰り返したとは思えない、流暢な口調で。
至って普通に喋り出した。
…正気に戻った?
いや、そういう訳ではないことを、俺は知っている。
俺のみならず、『frontier』のメンバーは既に承知のことだろう。
「えぇ。どうですか調子は?」
「お陰様で」
「励ましに来たんですよ。頑張ってくださいね、本番。最前列で見てますから」
「ありがとうございます。精一杯、やってみせます」
それは良かった。
「じゃ、頼みましたよ。素敵なステージを期待しています」
「はい。任せてください」
よし。大丈夫そうだな。
本番前に、あんまり邪魔しても悪いし。
「そろそろ行きましょうか、ルルシー」
「え?あぁ…分かった」
ルルシーは首を傾げていたので、多分分かってないんだろうな。
見た目じゃ分からないのも、無理はないか。
俺はルルシーを連れて、『frontier』の楽屋を後にした。


