フードエリアでは、様々なコラボメニューを販売しているが。
俺のイチオシは、なんと言っても。
「ルルシー、あれ。あれ食べに行きましょうよ」
「あれって…?」
「ほら、あのキッチンカーですよ」
「あぁ…ソフトクリームか?」
キッチンカーには、大きなソフトクリームの絵が描いてあった。
そう、ソフトクリームです。
でも、ただのソフトクリームじゃないんですよ?今回は。
「ソフトクリーム、食べに行きましょう?」
「それは別に良いけど…。…めちゃくちゃ並んでるな」
並ぶ?…あぁ、客の列のことか。
時期が時期だし、今日も結構暑いし。ただでさえ、冷たいソフトクリームが欲しくなることだろう。
その上、今回あのソフトクリーム店は、夏フェス限定のコラボメニューを販売している。
皆コラボメニューを求めて、長蛇の列を作っているのだ。
分かる分かる、分かりますよ。
あのソフトクリーム、本当素敵でお洒落ですもんね。
食べたいですよね、皆さん。
力を入れた商品がよく売れていて、俺もスポンサーとして鼻が高いですよ。
…で、それはそれとして。
「まぁ良いか…。まだ時間もあるし、ゆっくり並ぶとするか」
そう言って、ルルシーは律儀に長蛇の列の一番後ろに並ぼうとした。
素直で良い人ですね、ルルシーは。
でも、今回はそうする必要はないんですよ。
何せ俺は…この夏フェスの企画者であり、出資者なのだから。
「大丈夫ですよ、ルルシー」
「?何が大丈夫なんだ?」
「並ばなくても大丈夫です。だって…」
俺は列を離れ、店の裏口から、キッチンカーの窓をノックした。
中は大忙しなのだろう。少し待ってから、ようやく店員さんが顔を覗かせた。
「はい。何か御用ですか?」
えぇ、御用ですよ。
「コラボソフトクリーム、二つもらえますか」
これぞ裏口入学、ならぬ。
裏口入店である。
しかし、バイトらしいその若い女性店員は、困ったように顔をしかめた。
「あの、申し訳ございませんが、列に並んでもらえますか?」
どうやらこのバイト、俺のことを知らないようだな。
「成程、それじゃ店長さんにこう伝えてもらえますか?」
「はい?」
「『ルレイアが来た』と。それで分かるはずです」
「は、はぁ…。承りました…」
アルバイト店員は、首を傾げながらキッチンカーの奥に引っ込んでいった。
一応、店長への伝言は引き受けてくれるつもりらしい。
なら、話は早いな。
すると、突然キッチンカーの裏口が開いた。
「お、お、お、お待たせしましたっ…!」
青ざめた店長が、両手にコラボソフトクリームを持って、急いで現れた。
「も、申し訳ありません。先程の店員はアルバイトでして、あなた様のことを存じておらず…」
「苦しゅうない、苦しゅうない。ソフトクリームがもらえれば満足ですよ」
「は、はい。誠に申し訳ございませんでした…!」
「じゃ、もらっていきますね。まだまだ客足が途絶える様子はないので、頑張ってください」
「はい。ありがとうございます…!」
深々と頭を下げる店長から、ソフトクリームを受け取り。
片方を、ルルシーに手渡した。
「…ね?並ぶ必要はないって言ったでしょう?」
「…お前って奴は…」
それは褒め言葉ですよね、ルルシー。
俺のイチオシは、なんと言っても。
「ルルシー、あれ。あれ食べに行きましょうよ」
「あれって…?」
「ほら、あのキッチンカーですよ」
「あぁ…ソフトクリームか?」
キッチンカーには、大きなソフトクリームの絵が描いてあった。
そう、ソフトクリームです。
でも、ただのソフトクリームじゃないんですよ?今回は。
「ソフトクリーム、食べに行きましょう?」
「それは別に良いけど…。…めちゃくちゃ並んでるな」
並ぶ?…あぁ、客の列のことか。
時期が時期だし、今日も結構暑いし。ただでさえ、冷たいソフトクリームが欲しくなることだろう。
その上、今回あのソフトクリーム店は、夏フェス限定のコラボメニューを販売している。
皆コラボメニューを求めて、長蛇の列を作っているのだ。
分かる分かる、分かりますよ。
あのソフトクリーム、本当素敵でお洒落ですもんね。
食べたいですよね、皆さん。
力を入れた商品がよく売れていて、俺もスポンサーとして鼻が高いですよ。
…で、それはそれとして。
「まぁ良いか…。まだ時間もあるし、ゆっくり並ぶとするか」
そう言って、ルルシーは律儀に長蛇の列の一番後ろに並ぼうとした。
素直で良い人ですね、ルルシーは。
でも、今回はそうする必要はないんですよ。
何せ俺は…この夏フェスの企画者であり、出資者なのだから。
「大丈夫ですよ、ルルシー」
「?何が大丈夫なんだ?」
「並ばなくても大丈夫です。だって…」
俺は列を離れ、店の裏口から、キッチンカーの窓をノックした。
中は大忙しなのだろう。少し待ってから、ようやく店員さんが顔を覗かせた。
「はい。何か御用ですか?」
えぇ、御用ですよ。
「コラボソフトクリーム、二つもらえますか」
これぞ裏口入学、ならぬ。
裏口入店である。
しかし、バイトらしいその若い女性店員は、困ったように顔をしかめた。
「あの、申し訳ございませんが、列に並んでもらえますか?」
どうやらこのバイト、俺のことを知らないようだな。
「成程、それじゃ店長さんにこう伝えてもらえますか?」
「はい?」
「『ルレイアが来た』と。それで分かるはずです」
「は、はぁ…。承りました…」
アルバイト店員は、首を傾げながらキッチンカーの奥に引っ込んでいった。
一応、店長への伝言は引き受けてくれるつもりらしい。
なら、話は早いな。
すると、突然キッチンカーの裏口が開いた。
「お、お、お、お待たせしましたっ…!」
青ざめた店長が、両手にコラボソフトクリームを持って、急いで現れた。
「も、申し訳ありません。先程の店員はアルバイトでして、あなた様のことを存じておらず…」
「苦しゅうない、苦しゅうない。ソフトクリームがもらえれば満足ですよ」
「は、はい。誠に申し訳ございませんでした…!」
「じゃ、もらっていきますね。まだまだ客足が途絶える様子はないので、頑張ってください」
「はい。ありがとうございます…!」
深々と頭を下げる店長から、ソフトクリームを受け取り。
片方を、ルルシーに手渡した。
「…ね?並ぶ必要はないって言ったでしょう?」
「…お前って奴は…」
それは褒め言葉ですよね、ルルシー。


