The previous night of the world revolution7~P.D.~

「…はぁぁぁ…」

ようやく正気に戻った俺は、錯乱する代わりに溜め息をついた。

盛大な溜め息である。

「何だよ…。そんな溜め息ついて」

思わず、ルクシーが顔をしかめるほど。

「嫌なのか?夏フェス」

「…嫌な訳じゃないですよ…。楽しみですよ」

「なら、何が問題なんだ?」

何が問題って…。

問題なんて、いくらでもありますよ。

あまりにも豪華アーティスト揃いで、俺なんて消し炭も同然だろうなーとか。

そもそも屋外ライブなんて、あんまり経験がないですから。大丈夫かなーとか。

山程作ってる俺のグッズ、ちゃんと売れるのかなーとか。

挙げ出したらきりがない。

あっ。また脳みそがショートしそう。

心臓が飛び出て、脳みそがショートしてしまったら、俺の身体には何が残るんだ?

「あぁ〜っ。緊張する〜っ!!」

俺は頭を抱えて蹲り、みっともなく悶絶していた。

「緊張って…。今からかよ…」

「本番大丈夫か?ルトリーヌ…」

「大丈夫だよ。本番前にルトリアがうるさいのは、いつものことだし」

ベーシュさん。うるさいって思ってたんですか俺のこと。

確かにうるさいとは思いますけど、それは申し訳ないんですけど。

許してください。

「何だかんだ、マイクを持って舞台に立つと人が変わるからな。ルトリアは」

「うん。だから心配しなくて大丈夫だよ」

「いつもの発作みたいなもんだな。放っときゃ治るだろう」

さすが、俺の仲間達。

俺の扱いにも手慣れたものだ。

頼もしい仲間に囲まれて、幸せだなー。はい。

と、ここで再び、緊張のあまり俺の脳みそがショートを起こした。

「あばばばばば」

「…また人語を忘れたみたいだな…」

「やれやれ…」

本番、夏フェス当日が思いやられますね。