原宿にはおしゃれなお店がたくさん並んでいる。そして、道を歩いている人もおしゃれで可愛い人ばかりだ。そんな中、変なキャラクターがプリントされたパーカーにダボダボのパンツを履いた翠はどこか浮いていた。

「ねえ、あれって友達同士?」

「片方めっちゃ可愛くておしゃれなのに、片方めっちゃブスでデブでダサダサじゃん」

ヒソヒソと周りから自分を悪く言う声が聞こえ、翠は「帰る!」と言った。だがそれを桃が手を掴んで阻止してくる。

「翠、ここのお店みようよ。最新トレンドが揃っててめちゃくちゃ可愛いんだよ!」

桃があるお店を指差す。パステルピンクの可愛らしい服屋には、多くのおしゃれな女性が出入りしていた。あの中に入るなど、翠にとっては地獄へ行くのと同じである。

「嫌。私は外で待ってる」

「翠、いつもそうじゃん。買い物行ってもお店の外でずっと待ってるだけ。これじゃあ、来た意味ないじゃん!」

「買いに来たのはあんたの服でしょ!私は関係ない」

「あるよ!翠におしゃれな服を買わせてってお母さんたちに言われてるんだもん」