（この人は、今まで出会った男の子とはやっぱり違う！）

桃に会ってからも、聖司は変わらずに翠に接してくれた。そして、桃のことについて何も聞いてこないのだ。そのことが翠は何よりも嬉しかった。

そして高校一年生の冬、翠は聖司の告白に応え、お付き合いが始まったのだ。



聖司とのお付き合いは、刺激的で楽しいものだった。今まで翠が恋愛小説でしか知らなかったことを、聖司は教えてくれる。

可愛いカフェで紅茶を飲みながら話し、誰もいないところでこっそり手を繋ぎ、夜に寝落ちしてしまうまで電話をする。夢のような毎日だ。

それと同時に、翠の意識も少しずつ変わっていった。少しでも聖司に釣り会えるようになりたいと、ダイエットやおしゃれを始めたのだ。

翠が少しずつ変わっていくことを、桃や両親は密かに喜びながら見守っていた。

そして翠と聖司は高校二年生になり、季節は巡っていく。春には一緒に桜を見に行き、夏には花火大会へ、秋には美術館や図書館でデートをし、冬を迎えた。