少し疑問に思ったけれど、先輩が急に私のことを抱え上げて自分の膝の上に座らせたので、そんなことはどこかへ吹っ飛んでしまった。
「七海はそいつのことが好きなのか?」
と先輩が私の目をじっと見つめたままそう聞いた。
…ーー"好き"。その単語が出て来ただけで、胸が高鳴った。
「…違いますよ。壮馬へは友チョコみたいなものです」
「ふーん。…俺、七海の作るお菓子、俺以外のヤツに食べさせたくないんだけど」
「…っ!?」
先輩が私の頬を右手の人差し指でなぞる。
「七海の作るお菓子は、俺が独占したい。…ていうか、お前の全部を俺のものにしたい」
先輩の大きな手のひらが、私の頬を包み込む。
「俺、七海が好きだ」
…うそ。信じられない。
「俺が欲しいのは、七海だけ」
先輩の顔が、少しだけ私に近づく。
「…七海。チョコなくてもいいからさ、」
先輩の指が、愛おしげに私の唇をなぞる。
「…ーーキス、してもいい?」
私は息をのんだ。
するり、と先輩の手が私の腰にまわる。
そして、そっと、ぎゅっと抱きしめられた。



