今日はなんのお菓子を作ろうかな。


 クッキーかな?マドレーヌかな?


 そんなことを考えながら、私はまだ人通りの少ない廊下を歩いていた。


 私のクラス、いつも終礼が終わるのが早いんだよね。


 まぁそのおかげで人混みを避けられてるんだけれど。


 そして私の教室のある3階から2階、そして1階へと階段で降りようとしたその時。


「…えっ?」


 踊り場に、壁に体を預けてうずくまっている人がいた。


 顔も伏せているので、誰かはわからない…けれど、服装とスリッパの色から、ひとつ上の2年生の男子の先輩だということはわかった。


 今はまだ、他のクラスは終礼をしているはず。


 なのに、なんでこの先輩はここでうずくまってるの…?


 もしかして、体調悪いとか…!


 そう思った私は、その先輩に恐る恐る声をかけた。


「あ、あの…。だ、大丈夫ですか…?」