「もうすぐバレンタインだねー」


 今は朝の登校時間。


 大会を終えた蒼桜と私は並んで学校へと向かっていた。


「そうだね。…蒼桜は男子に渡すの?」


 そういえば、蒼桜の好きな人とか聞いたことないかも。


「んー、私はないかなー」


 あ、ないんだ。


 蒼桜、可愛いのに。


「…七海は?」


「私?…私は」


 そこで私は言葉に詰まった。


「渡さないの?」


「渡したい。…けど、渡せないよ。…だって私と先輩じゃあ釣り合わないし」


「…でもさ、そこで先輩の名前が出てくるってことは、少なからず七海は先輩のことが気になってるんだよ。後悔しないようにね」


 と、蒼桜が私の目を見て言う。


 蒼桜にはこの前、櫂先輩のことを好きになったことを打ち明けた。


 すると蒼桜はとても喜んでくれた。