「おはよう、七海」


 と、挨拶をしてくれた蒼桜におはようと返して、私は外の景色を眺めた。


 私が先輩のところへ行かなくなってから3日が経った。


 あれから白雪先輩に睨まれることはあっても、話しかけられることはなかった。


 しかしそのかわり、早乙女先輩とも接点がなくなってしまった。


 …先輩、どう思ってるんだろう。


 たぶん、なんとも思ってないんだろうな。


 そう思うと、自然と口からため息がもれた。


「七海、どうした?」


 蒼桜が心配そうにそう言った。


「…いや」


 これは私の問題だから、蒼桜に言うべきじゃないと口をつぐんだが、


「…絶対早乙女先輩が関係してるでしょ。話してよ、七海。友達でしょ?」


 蒼桜にはお見通しだった。


 本気で心配してくれている友人の顔を見て、雫が1つ頬をつたった。


「…うぐ、ひっく。あ、蒼桜ぉ〜」


 それが引き金となり、私の目のダムは決壊した。


「えっ!?な、七海?…ちょっと、先生に保健室に連れていってくるって言っといて!」


 と、クラスメイトに伝言をお願いした蒼桜は、人気の少ない屋上に続く階段に私を連れて行った。


「…ーーで、どうしたの?」


 そう優しく問いかける蒼桜に、私は今ある自分の状況を話した。


「…ーーなるほどね。早乙女先輩と話したいけど、白雪先輩に止められてて話せない。それでどうしたらいいかわからなくて早乙女先輩を避けてるってことね」


 蒼桜の言葉にうなずく私。


「白雪先輩とか無しにして、七海は?」


「…早乙女先輩と会いたい。話したい」