ねぇ、ちょうだい?



「…ははっ」


 急に聞こえた笑い声に驚いて、私はすぐに視線を上げた。


 私の目に飛び込んできたのは、今までずっとポーカーフェイスだった先輩の、くだけた笑顔だった。


「おもしろいね、キミ」


 先輩は口元を右手で覆いながら笑い続ける。


 …なんか笑わない人なのかなと思っていたけど、そんなこともないのかな?


「はぁ…。で、キミをここに連れて来た理由なんだけど。…そういえばキミ、名前は?」


「えっと、澪川(みおかわ)七海(ななみ)です…」


「じゃあ七海。これから俺にお菓子、作ってきてくれる?」


 と、またさっきのポーカーフェイスに戻った先輩が言った。


「…え?」


 あまりにも急すぎて、私の頭はすぐにその言葉の意味を理解できなかった。