するり、と先輩の手が私の腰にまわる。


 そして、そっと、ぎゅっと抱きしめられた。


 先輩の整った顔が、私の目の前まで迫ってきて、私の鼻と先輩のおでこが今にもぶつかりそう。


 そして先輩は目線を上げて私に合わせた。


 先輩のブラウンの瞳が私をとらえて離さない。


 そして、少し目線を落として、


「…ねぇ、ちょうだい?」


 と言った。


 ずっと何でもない毎日が続くと思ってた。


 でも、高1の2月に変化が訪れたんだ。