こればかりはしょうがない。場所がどこであろうと、きっと文句は消えない。
根本はわたしへの反発心だと思うから。
とりあえずここまで来れたことを喜びつつ。
ここからはわたしの力でなんとかしないといけないから、気を引きしめないと。
「よう、苫ちゃん」
ここのオーナーの平野さんがやってきた。
平野さんは、おじいちゃんより10歳以上も年上の男性。
だけど、おじいちゃんよりも精気に満ちあふれているような気がするのは、その容姿のせい。
スキンヘッドにサングラス。
ガタイのいい体は、いつもアロハ柄のシャツを着てる。
頬には大きな刀傷のようなものが刻まれていて……ひと言で言えば、怖い。
平野さんが現れた瞬間、生徒たちに怯えが見えるくらい、ワル顔。
だけど実際は、とっても愉快な人だ。
わたしも最初に会ったときは驚いたけれど、話してみれば陽気で明るくて、楽しい冗談をたくさん聞かせてくれた。
おじいちゃんが仲良くする理由がわかる気がする。