「参加してないの?なん」
そこで言葉を切った。
なんで、と聞かなくてもわかっちゃったから。
そうでした。斑は基本的に行事をスルーする人間でした。
それがわかったのが、斑が中3のとき。
いつ修学旅行なのか聞いたらすでに終わっていて、参加しなかったと後になってから知った。
体育祭や文化祭みたいな学校で行われる行事は参加してるらしいけど……。
遠足は盲点だった。
「今年は参加するよね……?」
「するよ」
斑はそう答えながら立ちあがって、資料室の棚を眺めはじめた。
平然としていらっしゃる……。
参加の意思があってよかったけど……。
参加する、しないの基準がわかんない。
気まぐれ?
「苫がいるから参加するんでしょ?」
ハルルがこそっと耳打ちしてきた。
「え?」
「用心棒なら当然の判断じゃん」
意味深な笑みを作るハルル。
……え、そういうこと?
用心棒の任務のために行事の参加不参加を決めてたの?
いつどこでわたしが騒動に巻きこまれるかわからない以上、離れられないのはわかるけど……。
もうちょっと自分の欲のために動けばいいのに。