ホールのど真ん中を平然と歩いていく男たち。


そんな彼らの後ろをハラハラしながらついていくわたしは、ハルルの言葉を思いだしていた。


──ブラックは各組のトップ、総長だけがつけられるもの。

──プレートを見ればすぐにこの人だってわかるよ。


ネームプレートがブラック色の人が西組の総長……。


……この人だ。


男たちが、ある男子生徒の前で立ち止まった。


全体的に清潔感が漂う短髪の男子。

勝手な想像だけど、ボクシングとか格闘技とかやってそう。


しかし、表情は厳しく優しさのかけらもない。

“無愛想”“ぶっきらぼう”

それらの言葉が瞬時に頭をめぐるほど。


左胸のネームプレートには、『西組3年』と『佐紺』の文字が刻まれている。色はブラック。


つまり、この人が西組総長──佐紺先輩。


東組の紫藤先輩、北組のクリスくん、南組の亜白先輩に負けず劣らずのえげつないオーラがあふれ出ている。