アラームよりも早く目が覚めた日は、なんだか今日はいいことがありそう、と期待に胸がふくらむ。
さらにそれが新生活の始まりの日だったら、なおのこと楽しみが増す。
そんな爽やかな目覚めを噛みしめながら寝返りをうった。
わたしの視界に飛び込んできたのは、となりですやすや眠る“彼”の顔だった。
「うるさ……。なに?」
眠っていた彼はうっすらと目を開けた。すこしだけ眉を曇らせる。
となりでいきなり大声を出されたら、そういう顔になるのはわかるけど……。
「ど、どうして、となりで寝てるのっ⁉︎」
「起こしにきた」
あくびしながらのんきに言う彼。
起こしにきたって……寝てたじゃないですか!
いつも言ってるけど、
「勝手に部屋に入ってこないでくださいっ……!」
わたしは逃げるようにベッドから飛び出た。
「はいはい」と呆れながら頭まで布団をかぶる彼。どこまでいってもマイペース。
まんまとわたしのベッドを乗っ取ってしまった。
しかも、そのまま寝に入っちゃったよ……。