三方を校舎に囲まれた中庭。

レンガ調のタイルや芝生、ベンチがあるそこは、ちょっとした憩いの場のようだった。


──人の多さを除いては、だけど。


騒ぎはその中庭で起こっていた。


なにかを囲むように集まる生徒の群衆。

校舎には、窓から身を乗りだすように眺める生徒もいる。


さすがにそんな状況を前したら、なにがあるんだろうとわたしの好奇心もうずき出す。


群衆をかき分けて中へ中へと進んでいくハルルの後にわたしも続いた。


りらは「ここで待ってるね」と言って、人だかりには入らなかった。



「いたーーー!」


ハルルができるかぎりの小さな声で叫んだとき、ようやく騒ぎの発生源が見えた。


ごついアクセサリーをつけた黒髪の男子とヘアバンドを巻いた赤髪の男子が、それぞれ4、5人の男子生徒を後ろに従えて向かいあっている。


ハルルが騒ぐのも無理ないくらい美形の2人だけど、まとう空気はえげつないくらい刺々しい。