「斑はそれを返そうとしてる。自分の気持ちを押し殺してまでな。……こいつァ思ったより真面目だった。約束を律儀に守ってくれるのは嬉しいが、もっと自分の気持ちに正直になったほうがいい」


おじいちゃんはそう言いながら斑に慈しみのような目を向ける。


血のつながりなんて関係ない。ここで暮らしているみんな、おじいちゃんにとっては家族なんだ。


当然、斑も。


だから、用心棒という役割を与えたけど、それを越えて自らの思うように生きてほしい──と。


おじいちゃんはそう思っているのかもしれない。



「苫は斑が好きか?」

「えっ⁉︎」


唐突な質問に大きく反応してしまった。


どうしてそんな話になるの⁉︎


もしかしておじいちゃん、わたしの気持ち知ってるの?


「それは、どういう意味で……?」

「そりゃあ、……男として」


おじいちゃんが意味深に笑う。


なんて答えればいいんだろう……。


悩んで黙ってる時点で肯定しているようなものだけど。


好きだって本音を言うのは気恥ずかしい。

けれど、好きじゃないってウソはつきたくない。