「それいいっすね。組長の最短ルートじゃないっすか」
「なるほどね」
「最優秀作品賞を取った組の総長が花姫を嫁にできる。……学食貸しきりより盛りあがる賞品だろ」
わたしは学食貸しきりと比べられる程度の存在なんですか、というツッコミすら出ない。
どうしてそんな話になるの?
嫁ってつまり、結婚を前提につき合うってことだよね?
「い──」
「西ヶ浜組をなめるな。そんな強引な方法で組長になれるわけないだろ」
いやです、そう言おうとした。
だけど、それより早く佐紺先輩が口を挟んだ。
「別にキッカケは強引でもなんでもいいんだよ。結婚するまでにモノにすればいいんだから」
紫藤先輩は引こうとしない。
それどころか、意見を押しとおす自信すら感じさせる。
紫藤先輩が場の空気を支配する中、1人の男が冷ややかに言葉を落とす。
「却下」
いつだって声も表情もクールな男──黒桜斑だ。
斑の乱入に、飄々と笑顔のようなものを浮かべていた紫藤先輩が眉間に力を入れた。



