紫藤先輩の言うとおり、西ヶ浜組はずっと、西ヶ浜家の血縁者、もしくは血縁者と婚姻関係を結んだ配偶者が組長をしている。
ひいおじいちゃんしかり、おじいちゃんしかり。
当然、次期組長も親族に引き継がれるだろうと言われている。
だけど、おじいちゃんには子どもがいない。
1人娘がいたけれど亡くなってしまった。
……わたしを産んですぐに。
お母さんが選んだ人も、わたしを産む前に離婚して行方不明。
だから、親族はわたしだけ。
みんな噂するようになった。
──西ヶ浜の娘を花嫁にすれば次期組長になれる、と。
ゆえにわたしは、『西の花嫁』と呼ばれるようになった。
バカバカしい噂だけどその伝染力は凄まじく、まるで決定事項のように広まった。
そして気づいたら、あだ名が『花嫁』から『花姫』に変わっていて、本気にしたほかの組の組員や不良たちから狙われるようになった。



