「えぇ?!ほんとに黒桜斑が騎士役やんの?」

「マジかよ。そういうのやるキャラじゃねーだろ」

「どういう心境の変化?」

「でも、ちょっと見てみたいかも」

「黒桜先輩の騎士、めちゃくちゃかっこよさそうだよね」

「なんか今年の演劇祭、おもしろくなりそうじゃない?」



驚きから期待へと変わっていくみんなの感想。気持ちが昂っているのが、ひしひしと伝わってくる。


どうしてみんなそんな簡単に受けいれられるの?


わたしは斑が役に立候補したのが未だに信じられないというのに……。



『じゃあ仮面の騎士の姫役は西ヶ浜さん、騎士役は黒桜くんに決定ということで。西ヶ浜さん。意気込みでもなんでもいいので、ひと言お願いします』


「えっ!あ、はい……」


混乱中に話をふられても困るんですけど。


そう思いながらも小松先輩からマイクを受けとる。


『えーっと……演劇祭のことも、今日知ったばかりなのに、急に役が決まって……正直まだ実感が湧きません、が。その……やると言ったからには、ちゃんと見せられるものになるよう、がんばりたいと思います』