え、やるって……。
「「ええええぇぇぇぇぇ⁉︎」」
ホールをゆらすほどの大きな声がとどろいた。
なににも興味を示さないニヒルでクールな番犬。
この学校では『最強の一匹狼』と呼ばれている。
──そんな男が騎士役に立候補した⁉︎
わたしを含めたここにいるほぼ全員が、驚きで一斉に声を上げた。
驚かずにはいられない!
……だけど、ただ1人、佐紺先輩だけは反応を見せなかった。
睨みつけるような斑の視線を真っ向から受けて立っている。
ばちっと火花を散らす斑と佐紺先輩。
「……わかった。たしかに黒桜のほうが適任だ。『番犬と花姫』が『騎士と姫』役。それだけで話題になりそうだしな」
先に目をそらしたのは佐紺先輩だった。
『譲る』というより『折れた』と言ったほうが正しい気がする。
斑の意志に『折れて』、佐紺先輩は騎士役を自ら降りた。



