「作品賞は取れなかったんだけどね。りらが主演だったら絶対作品賞……ううん、最優秀作品賞も取れたのに!」
「それは、主演を務めた私のせいだと言いたいのかしら?」
話を割るように後ろから声が聞こえてきて、ふり返ると妃崎先輩が立っていた。
「せいとは言ってませんけどー……」
「あの役はあなたには合わないでしょ。新人賞も逃していたわよ」
妃崎先輩に言われて、文句を返したいのを頬をふくらませて耐えるりら。
話を聞いてるかぎり、2人は去年同じ演目で共演したみたい。
「妃崎先輩、おはようございます」
2人のテンポのいい会話に微笑みつつあいさつを送る。
おはようって言っても、もうお昼なんだけど。
「おはよう。あなた、演劇祭のこと知らなかったのね」
「は、はい……」
「ちょうどいいわ。今日の放課後、5階で演劇祭のこと話すから来なさい」
演劇祭のこと?