クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした


おじいちゃんが言ってた。


──ヤクザとか一般人とか関係ない。俺のテリトリーに住んでるやつはみんな家族だ、って。


総長とか暴走族とか関係ない。

上も下もない。わたしたちはクラスメイトなんだ。



「妃崎。俺らの負けだ」


ふと佐紺先輩が足を止めた。

じっとなにかを見据えている。


その視線の先を追うと……。



「悔しい!あと30秒あればクリアできてた!」

「最後のあれ、奇跡だったよな」

「えー!そのミッションどこにあったの⁉︎それ、ウチなら楽勝だよ」

「すーさんやべーよ。見た目に似合わず超俊敏なの」

「あれ笑ったよね」



チャレンジスタンプラリーを終えたみんなが広場に集まっている。


口々に漏らすのはチャレンジの感想。

学年、性別問わず楽しそうに話している。


そこにあるのは笑顔。わたしが見たかった光景そのものだった。