「友だちでも、地位は守れませんか？」

「なに言ってんの？……守れるわけないじゃない」


ふいっと視線を戻す妃崎先輩。


わたしは佐紺先輩のとなりに並んで、それでも話しかける。



「じゃあ親友はどうでしょう？親友も恋人と同じくらい特別な存在だと思います」

「私とあなたが？……バカじゃないの。私とあなたが友だちになれると、本気で思ってるの？」

「わかりません……」

「はぁ……。呆れるわ」

「なれるかどうかは、お互いに踏みこんでみないとわからないと思います」



一歩一歩足を進めるように、わたしの想いもひとつひとつ形を成していく。


妃崎先輩から想いをぶつけられたときはなんて声をかけていいかわからなかったけれど、今は言葉にできる。


「それでわかり合えなかったとしてもいいんです。思いこみだけで人を弾くよりずっといい」


ずっと佐紺先輩も妃崎先輩も敵だと思っていた。


でも、同じ西組になって同じ行事をして、同じ思い出を作って。


わたしたちは敵なんかじゃない。クラスメイトだ。