「大丈夫でしたか?」


八巻くんが心配をこぼす。


「大丈夫だよ。それよりどうしたの?」

「ごめんなさい、やっぱり心配で……。佐紺先輩の姿も見えたし」

「そっか、ありがとう。でも、ほんとに大丈夫だよ」

「そうですか?ならよかったです」


大丈夫。

根拠はないけど、佐紺先輩と2人きりになってもなんか大丈夫な気がする。


どうしてだろう。


わたしを追いだそうとしているはずなのに──。

わたしを敵視しているはずなのに──。


なんだかそこに佐紺先輩の本心はないような気がする。


本当にわたしたちは敵同士なのかなって……。


今まで気にしていなかったけれど、佐紺先輩って、実際はどんな人なんだろう?


それを知ることが、佐紺先輩の本心につながる気がする。