どうやら、わたしの頭についていたそれを取ってくれただけらしい。
「……やるって決めたんで」
「そうか。じゃあ1つだけ助言してやる」
佐紺先輩は、葉っぱをひらひら落としながらそんなことを口にした。
「妃崎わかるか?」
「はい……。佐紺先輩の彼女、ですよね?」
「ん?ああ、そうだ」
……?なんだろう?
いま一瞬、不思議そうな反応を見せたよね……?
『彼女だっけ?』みたいな……。
佐紺先輩は言葉を続ける。
「認めさせたいなら、アイツをどうにかしたほうがいい。俺やほかの連中なんかよりずっと『西組』にこだわってる」
佐紺先輩の考えていることがイマイチわからない。
その助言を『敵だから』と聞き流すことはしないけれど、どう受けとめたらいいのか困惑する。
「どうにかって……」
「西ヶ浜さんっ」
どういうことかと聞き返そうとしたとき、八巻くんの声に遮られた。
「まぁ頑張れよ。最後まで見届けてやるから」
佐紺先輩は、わたしにだけ聞こえるようにささやくと、やってきた八巻くんと入れかわるようにして去っていった。