「まぁいいけど」
そう言いながら顔を背けた佐紺先輩。
それが呪縛開放の合図。
「そ、そろそろ戻るか」
「そうだなっ。玉ねぎ、切ればいいんだっけか?」
「あっ、はい。よろしくお願いします!」
彼らはせわしなく立ちあがると、逃げるように調理場の方へ走っていった。
わたしも立ちあがって佐紺先輩に会釈し、立ち去ろうとした。
「順調らしいな」
だけど、佐紺先輩に話しかけられて、足を止めた。
「順調?」
「認めさせるって言ってただろ。あいつら手懐けたみたいだな」
「手懐けただなんて」
恐れ多い。ただ一緒に遊んでいただけで……。
「楽しそうにずっと遊んでたじゃないか」
「ずっと……?見てたんですか?」
「ああ、見てた。それが俺の役目だからな」
そう言いながら、不意に佐紺先輩が手を伸ばしてきた。
殴られる……!
って思ったわけじゃないけど、反射的に体をビクッと反応させてしまったわたし。
「ふんっ。そんなビクついて、ほんとに総長が務まるのか?」
手をひっこめた佐紺先輩の手には葉っぱがつままれていた。



