君が月に帰るまで



『私、はじめじゃない人はいや。どうしてもはじめがいい』

『うーん、月夜。それはわかるわ。でもその場に立ち止まっていないで。次に向かわなきゃ行けないってこともある。

あなたに心の整理をする時間がないのは酷だと思うけど、その人だけしか好きになれないってわけではないと思うの』『他の人なんて、好きになれるのかな』

『今はそこまで考えなくてもいいと思うわ。とりあえずは、はじめさんやお友だちとの時間を楽しんで、ね』

『ねえ、満月はそういう経験あるの?』

『……あるわよ。一応』

ゆめは驚きつつも満月に問う。

『次に好きになった人がいまの旦那さん?』

『そうだね。向こうが好きになってくれてだんだん私もって感じ。お父様が決めた人だけど。今は好きよ』

『そう』

そんなことが自分にできるのだろうか。はじめ以外の人を好きになる。そんな未来が待っているのだろうか。そう考えただけで悲しくて涙が出そうだった。

『そうだ、最近知ったことなんだけど。姿を消している間は、地球鏡に写りにくいみたいなのよねー。ときどき朔が見えなくなることもあるから、もしかしたら見られたくないことがあるのかも』

『ええっ!? ほんとう?』

『時空が乱れるみたいな? ふふっ、健闘を祈ります、またね』

満月の想念は薄くなっていって消えた。

姿を消している間は、地球鏡からも見えない。それはすごい。今は10秒くらいしかできないけど、練習してみようかな。