「青山くん、ありがとう」

かえでは少し涙を浮かべていた。

「やりたいこと、やろうぜ。失敗したとしてもさ」

「私、失敗しないので」

どっかで聞いたようなセリフを吐いて、スタスタ歩いていく。他のみんなには見せない一面が見られたような気がして、嬉しくなってかえでを追いかけた。

「俺も志望校変えようかな」
「どこに?」
「イギリスのK大学。獣医学部あるだろ?」
「獣医学部ならAレベル(イギリスの大学受験用統一試験)受けなきゃ。なんだかんだ準備に2年はかかるよ」
「やるよ、かえでが行くなら」
「勝手にしたら」

かえでの顔がまたちょっと赤くなる。ダメとは言わなかったな。図書館にきたかいはあった。

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