君が月に帰るまで

「そうね、いきましょうか。ゆめちゃんはどこか行きたいお店とかある?」

かえでがゆめに訊くと、目をキラキラさせて「ふぁみれす!!」とリクエスト。

「ファミレス!?」

三人の声が合わさる。

「うん。どりんくばー? やりたい」

かえでと夏樹には、ゆめがとんでもない箱入り娘に見えたに違いない。駅の近くにあるイタリアン系ファミレスに入り、4人で席に着いた。ボックス席は、右手奥からゆめと夏樹。左手奥からかえでとはじめという組み合わせで座った。

少し夏樹が遠慮したように見えたのは気のせいだったか……。

「ゆめちゃん、どれにする?」
「うーん、オムライスある?」
「オムライスあるよ、トマトソースかデミグラスソースか選べるわ」
「でみぐらす? とまと?」

ゆめ以外の三人それぞれの頭に、それぞれの疑問が浮かんでは消えていく。それくらいみんながみんな困惑した表情だった。

あれこれ説明しながら注文をし、みんなで話しこむ。
「へぇ、夏樹ってうちの近くに住んでるんだ」
「小学校は隣の校区になるけどな」
「そうなんだ、知らなかったわ」
「ねぇねぇ、どりんくばーって、おかわりできる?」

このメンバーで話すのはもちろん初めて。はじめと夏樹はほとんど話したこともなかった。