体が温かくなって目を覚ます。人間になったのを確認すると、ゆめは檸檬色の浴衣に着替えて丸窓の前に座った。

勾玉を握って、そっと目を閉じ姉に想念を送る。

『月夜? 昨日の作戦お見事でした。見ていてハラハラしましたけど』

『やっぱり。知ってて連絡を絶ったのですね』

『ごめんなさい、お父様がそうしろというので仕方なく。怖い思いをさせたこと許してください』

『ううん、いいの』

はじめは、ちゃんと助けにきてくれた。

『髪の毛短いのも似合うわね』

『想念が使えてよかったです。髪の毛が短いと霊力は衰えるでしょう?』

『そうね。でも勾玉の力はそれくらいじゃ無くならないわよ。そうそう、きょうの帰還ですが、月の入りの18時57分には完了させます。なので18時30分には迎えのお供と飛車がそちらに着くので承知しておいてください』

『わかりました』

『飛車に乗る前に、はじめ様に願いごとはなにか聞いてくださいね』

『はい……』

『……大丈夫よ。何があっても、あなたは幸せになれるわ』

『ありがとうございます』

『あす、会えるのを楽しみにしています』

すーっと想念が消えるのを待って、目を開ける。丸窓をのぞいても新月だから、月は見えない。

太陽の光を浴びていなくとも実際には月は登ってきている。不思議な気持ちになりながら、少しずつ明るくなってきた空をゆめは見上げた。もう一度眠りにつこうと布団に横たわる。