はじめが着物を取りに部屋を出ると、月夜はすぐ朔の方に居直って、話し始めた。

「これはどういうこと?」
「なんでしょう?」
「なぜ、ここなの? どういうつもり?」
「すべては大王のご意志です」
「みくびらないで! 私は曽祖母さまとは違うわ!」

月夜は朔にくってかかる。朔は平気な顔でニヤッと笑った。

「なによ、その顔」
「姫さまにも、条件を仰せつかっております」
「条件……」
「はい、こちらも3つです」

1.想いを相手に伝えてはいけない
2.性的行為をしてはならない
3.相手の恋路の邪魔をしない

「……性的行為って……、お父さまは娘を全く信用してないのね。そんな手、使いたくもない。つまり地球にきたのは、ただ謹慎ということだけでなく、できるものなら、己のものにしてみせよということ? もし達成できなければ?」
「おとなしく月に戻って、祝言をあげよとの仰せです」
「人の気持ちをなんだと思ってるの……」
「あの方がそれを望めば、姫の願いも叶えられる。簡単なことです」
「くっ……」

月夜は項垂れた。そんなの無理だ……しかもたった2週間で。そう思ったが言葉が出てこない。