俺は如月碧依。12歳。


今日からとてもとても怠い学校の始まりだ。


しかも、今日はとことんついてないらしい。


入学式の会場という名の体育館に向かおうと皆んなが廊下に並んでいる時に、担任のもうすぐで還暦だというお爺ちゃん先生に呼び止められた。


そしたら、今日の入学式の後半の方に予定されてる新入生のお言葉にもう1人同じクラスの女子と出ろってよ。


俺は両親に何も聞かされてなかったから、『人違いじゃないですか。』と言ってなんとか逃れようとしたが、流石に無理だった。


ったく、あの親もそういう大事なことは言っておけっての。聞いてないのに急に頼まれたこっちの身にもなってくれ。


そう言えば、同じクラスの女子って誰だ?あと、なんで俺なん?一応、俺はここの入試を2位通過してるけど…


ということは、もしかしたらそいつが1位通過したやつか?そうだとしたら、このクラスに1位も2位もいることになるぞ。それって、結構やばくね?まあ、集めてるのかもしれないけどよ。


はぁー、それにしても、女子かぁ。俺、女子苦手なんだよなー。


だってなんか自分のことを可愛いと思ってるしさ、俺は顔面偏差値が高い方だと昔から言われ続けてるからそうなんだと自覚してるけどよ、そんな俺に顔目的で獲物を見つけた肉食動物のような目で近づいてくるしさ、どんだけ自分に自信があるんだよ。


その自己肯定感を全日本国民に分けてほしいわ。どこが自己肯定感が低い国だよ。高いじゃねーか。


そんな理由があって俺はものすごく女子が苦手になってしまった。だから、今回のお言葉もやりたく無かった理由はただ怠いだけじゃない、複雑な理由があるんだよ。


でもなー、やれって言われたことはやらないといつまで経っても終わんないからなー。それに、1位通過した女子がどんなやつなのかも見てみたいし。


そう思って、俺は体育館の舞台裏に入っていった。