「楓織、自転車乗ったこと無いでしょ。」


えっほえっほ


1番目がそれかいな。びっくりして咳き込んじゃったわ。


「お、当たり?」


「い、いや、乗ったことくらいあるからね!あの、子供の時に、お母さんの自転車の後ろとかに…」


「それは、乗ったとはいいません。乗せてもらった、です。」


「うぐっ」


そう、実は私、自転車に乗れた試しが無いのです。運動神経はいいのに、自転車だけは乗ろうとすると倒れてしまうのです。


「ていうか、なんでわかったの?」


「ん?そろばん一緒だったっていう設定、覚えてる?もう楓織からしたらへーそうなんだーくらいの設定だと思うんだけど。」


「そういう関係だったのかぁっていう感じです….」


「正直でよろしい。その時は楓織、何歳になっても楓織ママの自転車に乗せてもらってたでしょ。小4くらいまでかな。楓織が通ってたのは。」


「うん、小4になる年の2月らへんに辞めた。ってかなんでそんなこと覚えてるの⁉︎」


ほんとに謎だ…私はこれっぽっちも覚えてないのに…


「ここの地域では結構有名な話だったよ?白鳥家の母は過保護な性格だって。」


そう、お母さんは今はあんな感じで私たちを好きなようにさてるけど、昔は酷い過保護だった。


「そんな有名になるほど⁉︎」


「うん。でも、桜織ちゃんが小4になったときからかな、急に解放されてたよね。ここらでは、『白鳥の娘さんたちやっと解禁やって!』っておばさま方の間で結構噂になってたよ。」


うわー、そこまで知られてたんだ…確かに、小4になったときから、『もう大人の考えができるから』とか何とか言って、解放されたなぁ。


でも、あの時はこれから中学受験だーって時で、それはそれで家の中では過保護だったしなぁ。


せめて桜織にはそんな風に当たらないでほしい。でもあの子、受験する気そもそもあるのかなぁ。


「おーい、急に黙るのやめてよね〜。」


「あっ、ごめんごめん。つい色々考えてた。」


「ふーん、まぁ途中で思考が色んなところに飛ぶのは楓織らしいけどさー、なんかあるならすぐ言いなよー。」


「うん、わかった。ありがとう。」


流石翔央ちゃん、頼もしい。


「まぁ、自転車に乗れないのは今日話したいことの世間話のうちにしか入らないから、まだまだいくよ。」


「お手柔らかにお願いします…」