うーむ、これは困ったな。


さっき、身長の見せ合いをしてからというもの、楓織の機嫌が悪い。


一応、俺と桧山と実琉で慰めることを試みたんだが、楓織曰く、『皆、沢山伸びてるじゃんか~!この裏切り者~!』だってさ。


でも、小学6年生から1mmも伸びてないとは、それはまぁ落ち込むわな。


まぁ楓織は、小さくても可愛いから別にそれで俺的には支障はないんだが。


でも、こうやって一緒に帰ってる時に隣で笑ってくれなかったら嫌だな。


あー、やっぱ俺恋愛してるんだなぁ。昔は女が近づいてくるだけで結構嫌だったんだけどなぁ。


今はこうして笑ってくれないと心配になるとか、どれだけ楓織のこと好きなんだよ俺。


楓織に変な虫が付かない内に、早く俺のものにしたいけど、まずは現状の楓織の機嫌問題を解決しないと。


そう言えば、楓織は甘いもの好きだったよな。昨日話した時に知った。『鼠かよ』って意地悪言ったけど、好き嫌い無いのは普通にすげーよ。


お、目的地到着。convenience storeだ。


「楓織、ちょっとここで待っといて。5分以内に帰ってくるから。」


「ん、待っとく。」


やっぱちょっと機嫌悪いかなぁ。いつもなら、『いってらっしゃい』とか言ってくれるんだけどなぁ。


ま、いつか毎日聞けるようにするから、絶対。


さっ、楓織が待ってくれている事だし、やる事さっさと終わらそう。


俺が楓織を待たせてまで此処に寄っているのは『とあるもの』を購入するためだ。


そして、俺は目的を果たして、楓織の元に向かった。





ん?なんか楓織の周りに男集まってね?うわ、ヤバい、楓織ナンパされてる。


そして、俺はその光景を見た瞬間に走った。


「おい、お前ら俺の彼女になんか用?」


「ちぇっ、彼氏持ちかよ。せっかく可愛い子見つけたと思ったのによ。」


「いいから、早くどっか行け。」


「はいはい。諦めますよ。」


はぁー、ほんっっとに焦った。


「楓織、大丈夫?」


よく見たら、手とか足とか震えてる。よっぽど怖かったんだろうな。


「あ、碧依、くん。こ、怖かった、よ。」


「ごめんな、もっと早く気づいてあげられなくて。」


あー、そうだよな、楓織が可愛いことは俺が1番分かってたはずなのに、なんで俺そんな事まで気づかなかったんだろう。


んー、あー、楓織、ごめん。今は、これくらいしか安心させる方法思いつかないわ。


「⁉︎ちょ、ちょっと、碧依くん?あのー、何をしているのでしょうか?」


「ん?楓織を抱き締めてるだけ。こうしたら安心すると思って。」


本当は自分の欲望がちょっと溢れ気味だっただけだけど。


「あ、そ、そう。ね、あのさ、さっきは何しに行ってたの?」


「あー、忘れてたわ。はい、抹茶タルト。これで機嫌直して。」



「えっ!ほんとにくれるの?ありがとう!」


「♪〜〜♪♪〜〜♪〜」


それから、楓織は帰宅するまでずっと鼻歌を歌っていたから、機嫌は直ったのだろう。


これで一件落着っと。まぁ、暴走したところはあったけれども…