教室に戻ると、雰囲気が重たかった。


私が教室に入ると、
私を嫌う女子が白い目でみる。


私はみんなの顔を見ることができなくて、
下を向いたまま席に着いた。



その後、緑川先生が来て、
帰りのホームルームが始まった。



「では、明日と明後日は休みなのでゆっくり休んで、また来週から頑張りましょう」



先生が言い終えると、みんなが席から立ち上がって教室から出て行く。


「…いお、大丈夫?」


そんな時でも、
日向はいつも私を気にかけてくれる。



「…大丈夫」


日向にはもう心配をかけたくないから、
今出せる精一杯の笑顔を向けた。



「そっか。いつでも相談してね」


「うん、ありがとう」

そう言うと、日向も帰って行った。



せっかくリレーで一位を取って、
楽しい体育祭だったはずなのに、
最後の最後で最悪の一日になってしまった。


なったんじゃなくて、


私が、最悪の一日にしてしまったんだ。



私のせいでみんなに心配かけて、
翔太に酷いことをして。








それに、大好きな人にも。






こんなんになるなら、
もう誰とも関わらなければ良かった。




そんなことを本気で思っているんだったら、今からでも、みんなを突き放せばいい。


でも、私には、そんなこと出来なかった。

こんなにも私を心配してくれて、気にかけてくれる先生や友達を自分から突き放すなんて。




「…どうすればいいの…」




私が呟いた言葉は、

廊下ではしゃいでいる生徒の声に

掻き消された。