「勝手なことばかり言ってんじゃねえぞ」

「まどかに契約結婚は口実だと伝えたんですか」

龍斗は新の言葉に返すことが出来なかった。

「これ、サインして提出して頂けますか」

新が龍斗に渡したのは離婚届だった。

「まどかのサイン済みです、早く提出してください、半年後俺とまどかは結婚します」

龍斗は離婚届を破り捨てた。

「何をするんですか」

「お前の言うことは信用出来ねえ、まどかが俺との離婚にサインするはずがねえ、
お前が無理矢理サインさせたんだろう、まどかを解放しろ」

「人聞きの悪いことは言わないで頂きたい、あなたとの離婚はまどかの希望です」

「そんなことは絶対にありえない」

「信じるも信じないもあなたの自由です、何度でも離婚届は郵送させて頂きます、では」

新はマンションを後にした。

龍斗は小刻みに手が震えた。

まどかは元々新を愛していた。

俺との間に子供を授かって、契約結婚ならと俺との生活を前向きに考えてくれた。

新の冷たさに嫌気がさしたのも事実だろう。