「なあ、まどか、帰ってきてくれよ」

「彼女はどうしたの?」

「振られた、仕事辞めたって言ったら、出て行った」

新はしょんぼりした態度を見せた。

そこへ龍斗が入ってきた。

「まどか、もう行くぞ」

「社長」

「あんたは誰?」

「俺はまどかの上司だ」

「上司?それなら引っ込んでろよ、関係ないだろ」

新は龍斗を睨みつけた。

「まどか、なんか気分が悪くなってきた、帰るぞ」

「社長、あのう、私、もう少しここに……」

「馬鹿か、お前は、こいつは今無職だ、まどかの金目当てだぞ、いい加減目を覚ませ」

「でも……」

龍斗はまどかの腕を掴んで、歩き始めた。

「まどか、行かないでくれ」

新は弱々しい声を出して、まどかに訴えた。

「俺にはまどかしかいない」

まどかはまだ新を愛していた。

いや、正確には弱ってる男を放っておけないのだ。

女に弱い部分を見せて、頼る新。

女に弱い部分を見せられない、強がってしまう龍斗。

まどかはこの時、新を選んだ。