目の前に、白い騎士服に紺色のマント、物語から現れた騎士様がいる。
 優しげに細められた瞳の色は、ラベンダー。髪の毛は、柔らかそうな薄水色だ。

「カッコ良いです……」
「そう? 堅苦しくて、実用的ではないと思っていましたが、リサが、気に入ってくれるなら、毎日着るのもいいですね」
「はわわ。嬉しいけど、普段のお姿も素敵です」

 私は、実用的な短いマント、紺色の騎士服も大好きだ。何を着ても似合ってしまうレナルド様は、素晴らしい。

 格式の高い場所に行く時だけ、守護騎士様が着る白い騎士服。……ということは、どこに行くのだろう。

 なぜか私まで、淡い水色のフワッフワの裾をした、甘いテイストのドレスに身を包んでいる。

「可愛い。そんな姿のリサを、他の人間の目に触れさせなければいけないなんて」

 たしかに、こんなドレスだって、動きにくいし、実用的という言葉からは、ほど遠い。でも、好きな人に褒められれば、やっぱり嬉しい。

 レナルド様が私の胸元に手ずからつけてくれたのは、ラベンダー色の宝石がついたネックレスだった。

「……危険があれば、リサがどこにいても分かるから、絶対外さないで下さい。……外した時も、その瞬間駆けつけるから」

 言っていることが、どこか闇深い。
 危険がない時も、どこにいるかわかるのだろうか? 

「あのっ、お風呂の時は」
「お風呂で襲われたらどうするんですか。つけたまま入って下さいね?」
「は、はい」

 時々顔を覗かせるそんな部分は、レナルド様が、以前と少し違うのだと物語る。