中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら甘めに愛されました。


「……ご無事ですか。聖女様」
「レナルド様……。はい、無事ですよ」
「――――すぐに、王都に戻って、魔術師と剣聖に連絡を」
「その前にすることがあります」
「聖女様……。時間がないから」

 リサが、膝をついたまま、涙にぬれた目をこちらに向けた。
 その瞳が、俺の心の奥底まで覗き込むように、真剣な光を宿す。

「――――え?」
「ごめんなさい」

 それは、もし叶うならと、願ってやまなかった口づけで。
 でも、そんな風に、泣きながら、選択の余地がない中で、絶対にして欲しくはなかった。

 愛しい人からの、甘いその口づけを、それでも喜んでしまっている自分に、心が、守護騎士の名とともに、バラバラになっていくようだ。

 中心に描かれているのは、聖女を表す暁に光る一番星。
 上には太陽、下には月が描かれて、周囲を取り囲む円は、世界を表す。
 まるで、リサのように可愛らしい魔法陣。

「レナルドさま……」
「やめてくれ! このままでは、リサまで」

 不思議なことに、リサの名を呼ぶことができる。
 だが、そんなこと、リサを守ることができなければ、意味がない。
 
『そ、理沙。このままじゃ、二人とも助からない。それは僕も困るんだけど。聖女がこの世界からいなくなるのだとしても、理沙は守護騎士を助けたい?』