『ねえ、レナルド。聖女を助けたい?』
――――当たり前だ。
『僕みたいな存在に成り果てても?』
何を失っても。リサを救えなければ、意味がない。だから、答えは、『それでも』だ。
次の瞬間、リサを包もうとしていた、淡い緑の光が流れ込んでくる。
『そう。それなら、何が起ころうと、彼女を守り抜いてね?』
「当然だ」
『じゃ、契約成立ということで』
――――何が起ころうと守るから、そんな顔しないで欲しい。
「大丈夫ですから」
――――リサには、いつだって、幸せそうに笑っていてほしい。
「――――聖女を守るための、守護騎士の魔法か……。それにしても、予想外だ。魔力がすでに底をつきそうだ……。恐ろしいほど強いのだな。剣聖を越えているのか?」
守護騎士の魔法などではない。
多分これは、根本的に違う。
力が湧いてくるのが分かる。でも、それと同時に、もう聖女の守護騎士ではいられないのだと理解させられる。
聖女と守護騎士の契約で結ばれた繋がりが、徐々に細くなっていく。代わりに結ばれるこれは、何という名前なのだろうか。


