中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら甘めに愛されました。


 そして、2年の月日が過ぎる。
 危険な場所に、すぐに飛び込んでしまうリサ。
 そんな彼女に、愛しさと苦しさが募るばかりの日々。

 リサを守りたくて、聖女としての使命から解放すれば、その名を呼んで手に入れることができるのではないかと、黒い欲望が、ふと泥の底から泡のように浮かんでくる。

 俺は、聖女がその力を失う方法を、ひそかに調べ始めた。
 それと同時に、そうなったときに彼女を守り、俺の手の中に閉じ込めるための準備も……。

 聖女様と守護騎士。
 お互いの関係が、そういう名称なのだと信じて疑わないリサ。
 俺の心を知ることもなく、屈託ない笑顔でリサは笑いかけてくる。

 この関係を崩したくないと思うのも、本音で。
 幸せそうに笑う彼女を、守り続けたいのも心からの願いで。
 それでも、ただ名前が呼びたかった。

 そして、危うい均衡は、あの日完全に崩れ去ってしまった。

「これは……」

 流行り病という情報は、間違いだったということに気が付く。
 どうして、その情報を鵜吞みにしたのだろうか。
 事前に情報を集め、リサを守るために、万全を期していたはずなのに、魔が入ってしまったかのように、今回に限っては、流行り病という情報しか得られなかった。

「あの、いつだったか、骸骨を操っていた死霊術師のいた場所に、似てませんか……」
「……聖女様が、そう仰るのであれば、その通りなのでしょう」