中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら甘めに愛されました。


 レナルド様が、また自分の身を顧みずに、危険に飛び込もうとしている予感は、おそらく現実になる。

 でも、聖女の力を失ってしまった私には、もはやレナルド様を助け出す術がない。

「レナルド様……」
「あら、想い人の名前かしら?」
「想い人?」

 ナオさんの言葉で、我に帰る。
 確かに、この世界で一番好きな人と言われて、唯一浮かぶのは、レナルド様だ。でも。

「……身分が違いすぎます」
「そう? 好きな気持ちと身分は、関係ないと思うわ」
「……職務に忠実なだけで、私のこと好きなわけじゃないと思うんです」
「片想い? 素敵だわ」
「いつも無理ばかりして。でも、私はもう、力になれないんです」
「あら。逆に言うと、力になってくれるから、あなたはその人のことが好きなの?」

 ナオさんの言葉は、私の心にズズッと刺さってくる。そう、認めよう。守ってくれるからじゃない。私のこと好きになってもらいたいからじゃない。ましてや身分なんて関係なく。

 レナルド様が、好き。
 そうか。好きなんだ。
 形のなかった想いが、急にハッキリとしてくる。

「リサさん。あなた、本当に、ここにいて良いの?」

 ナオさんの質問は、ここ数日繰り返してきた、私の気持ちそのものだった。
 簡単な回復魔法しか使えなくても、少なくともまだ、魔力は膨大で、軽症の人なら、きっといくらでも治癒できる。

「シスト? あなたも、あまり愛し合う二人を掻き回すものではないわ」
『気がついていたの。僕の姿、箱じゃないんだけど』
「分かるわ……。大事な相棒だったのだもの」