結局、レナルド様に迷惑かけて、庇護されて生きていく?

「ねえ、レナルドがなんで王宮に行ったか、分かってる? 聖女様との婚約を陛下に、許してもらうためだわ」
「責任とって婚約してもらうのは、さすがに……。それに、私はもう、聖女じゃなくなったから、守護騎士としての役割を果たす必要もないです。真面目なレナルド様らしいですけど」
「レナルドのこと、好きなのだと思ってた」
「………………好きですよ?」

 でも、レナルド様と対等でいたい。

『ね、後悔しない? しても良いけど、このままここにいた方が、道は平坦だ』

 たぶん後悔する。
 レナルド様がいない世界は、たぶん寂しくて、楽しくない。

『でも、理沙は行くんだね』
「うん。シスト、お願いできるかな」

 ミルさんは、私を止めない。
 私の選択を尊重してくれる。

「たぶん、逃げられないと、思うけど。それに、レナルドにとっては、これも想定内だろうから」

 シストが、桃色の光を放つと、私たちの姿は、部屋から消えた。
 ミルさんの呟きは、私に届かないままだった。