あまりに、様子がおかしい。
『極端すぎるよ。ゆっくり距離を縮めるという選択肢はないの?!』
シストの言葉には、呆れが混じっているようだ。
毛繕いしながら、ため息が聞こえる。
「あの、急にどうしたのですか。えっと、この状況を打開するために、婚約するって事ですか?」
「リサのことが、好きです。そばにいてくれませんか」
「っ……?!」
……何だろう。逆に冷静になってきた。
やっぱりおかしいよね。えーと、守護騎士様として、聖女の名を守れなかった、責任を取ろうとでもいうのだろうか?
責任感の強い、レナルド様ならあり得るかもしれない。でも、それだけでは説明がつかない。だって、明らかに距離感がおかしいもの。
「あの……」
「リサが、呪いに蝕まれそうになった時の、俺の気持ち、分からないでしょうね」
「……レナルド様?」
そんな潤んだ瞳で見つめてくるとか、意味が分かりません。
「失うと思ったら、咄嗟にリサの名前を呼んでいた。……もしかしたら、聖女の称号が失われてしまったの、俺のせいかもしれないですね」
「え? 違いますよ」
だって、聖女の称号は、二人とも命がなくなりそうになったから、シストとの取引でなくなったのだから。
『あー、それも関係ある』
えっ、あるの。レナルド様が、私の名前を呼んだこと、関係あるの?


