中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら甘めに愛されました。


「っ……なぜ泣くんですか? まさか、そんなにも肉が食べたくなかったですか?」
「……違います。レナルド様は、どうしてこんなに優しいんですか? 騎士様だからですか?」
「俺が、優しい? 初めて言われたな。……いや、騎士であることとは、関係ないと思います」

 黙って差し出されたハンカチ。
 涙を拭ってくれるのかと思ったら、なぜか口についたソースを拭われた。
 子どもと思われているのに違いない。年はほとんど、変わらないはずなのに。

「ここは、涙を拭う場面では?」

 そう私が、軽く睨みつけると、もう一枚持っていたらしい新しいハンカチで、今度こそ涙を拭いながら、レナルド様が、口の端を上げて笑う。

「お許しを。戦いばかりで、情緒がないと家族にも言われます」

 その微笑みを見てしまったら、心臓が高鳴るのは、私だけではないだろう。
 レナルド様といると、この世界に、たったひとりだという孤独が、みるみるうちに減っていく。

「レナルド様が、いてくださって良かったです」
「……光栄です」

 ふいっと、レナルド様は、反対を向いてしまった。なぜか、その耳が少し赤い気がしたのは、暮れかけた斜陽のせいだろう。
 私は、そう結論づけたのだった。