中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら甘めに愛されました。


 一度、魔獣の大軍を、たった一撃の魔法で焼き尽くしたのを見たことがある。

「えっ、すごい! 魔法! 天才!」

 興奮を隠しきれずに、語彙が死んでしまった私に、ミルさんは妖艶に笑いかける。

「あまり魔力を消費すると、お肌に良くないから、人前で披露したことは、ほとんどないんだけど……。聖女様は、守ってあげたくなるのよね」

 そうして見せてくれたウインクも、破壊的な魅力だった。同性の私ですら、トゥンク……。と心臓が高鳴ってしまった。

 そして、剣聖のロイド様は、寡黙だ。どれくらい寡黙かというと、「ああ」と「いや」くらいしか、話しているのを聞いたことがない。
 つまりは、会話が成り立たない。これでは確かに、通常のパーティーにいるのは、困難かもしれない。

 そもそも、剣聖の称号がステータスに現れるのは、数十年に一人らしい。得難い人材なのだが、剣聖様も100年後の魔人襲来に出会わないから、無駄な称号と言われているのだと聞いた。

 本当に、失礼なことだと思う。
 だって、剣聖だけれどもロイド様は、誰よりも剣を愛していて、毎日の鍛錬を決して欠かしたりしないのだから。

 そんなロイドさんの、喜怒哀楽が分かるようになってきたのが、私の最近のひそかな自慢だ。

 そして最後に盗賊のビアエルさん。その身長は、私の胸くらいまでしかない。ほかの種族の血を引いているという噂だ。お酒が大好きで、いつも飲んでいるような気がするけれど、ダンジョンのトラップ解除や、宝箱の解錠、そして斥候の腕は確かなベテランだ。