赤くなってしまったミルさんは、純真可憐な顔をしている。
 いつも化粧をしていた時よりも、むしろグッとくる。

「俺の印」
「バカ」

 まるで、四つ足の狼が、獲物を狩る時みたいに姿勢を低くしたロイド様が、魔獣の中に突っ込んでいった。一対一の場合は、美しい王国騎士団流の剣術を、完璧に振るうレナルド様に軍配が上がる。
 でも、対魔獣戦の時、ロイド様は強い。

「ところで……」

 足元に、羽の生えた魔法陣を張り巡らせたミルさんが、眉をしかめる。
 その間にも、魔法陣の構築には余念がないのはさすが、最高峰の魔術師。

 ――――むしろ、今からミルさんが発するだろう疑問については、私のほうが聞きたいくらいなのだが。

 ステータスは、全ての人間に存在する。
 それは、美しい金色の文字で描かれた、日本語だ。
 ステータスが見えるのは、異世界から来た聖女の特権らしい。

 そのほかに、鑑定士という職業の人は、聖女や守護騎士などの称号は見えるらしいけれど。

 私も、見ようと思えば、称号のほかに、ある程度の強さが分かる。
 そして、目の前にいる物体……。

 毒々しい、緑と紫の色。そしてもう一匹は、蛍光ピンクとグリーン。
 先ほど、戦っていたスライム二匹だ。

「――――仲間になりたそうにしている?」